存在は知っていたものの特に興味は無かったので意識の外にあった作品だったのですが、あまりに評判が良いのでその内レイトショーで観に行こうと思ってました。ま、ゴジラ見てからだなぁなんて思ってたら北極百貨店とか駒田蒸留所とか見てるうちに、肝心の鬼太郎は宇都宮の映画館MOVIXもTOHOシネマも日中しか上映していない状態になってしまっておりました。つか俺ゴジラもまだこの時点で観てないのよね、何してるんだ俺。
そんな絶望の中、とりあえずゴジラだけでも見ておこうと映画館の上映スケジュールを眺めてみたら驚くべき事態に遭遇しました。
12月14日木曜日の宇都宮MOVIXの上映スケジュールでは日中一回だったのに、
12月15日金曜日には3回に増えてる!しかもレイトショーも復活してる!
まさか上映回数が増えるなんて!こんなことあるんですね。日を追うごとに観客動員数が減るのが当たり前なのに、この作品は寧ろ口コミで増えてるからこその結果なのでしょうか。
この状況を目の当たりにしたらそりゃあ観ますよ観に行きますよ。
廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について……。
昭和31年――日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。
そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で二人が見たものは――。
私の鬼太郎の知識は一般人レベルよりちょっと高い程度だと思ってます。なので冒頭の猫娘を見た時に「ああ、最近の鬼太郎バージョンか」と分かりました。目玉の親父が野沢さんなのがどうにもしっくりこないのは昭和の人間だからでしょうか。あんた鬼太郎だったじゃん、って。当時ねこ娘が狙いすぎてるデザインだと賛否両論ありましたが、俺はどちらかと言うと大賛成派です。
まず先に、この作品を見る前に偏見を持っていたことを書いておかなければなりません。どうも調べるに女性からの評判が高いんです。なのでもしかするとバディものじゃないかと、そちらの方々御用達作品ではないかと勘繰っておりました。
見てるうちに戦後まもなくの昭和感がこれでもかと描かれており、また舞台となる哭倉村に入る演出が素晴らしく、そこで一気にこの世界に入り込んでしまいました。しかもそこから展開される横溝正史的展開!さらに予想してなかった極上の戦闘シーン!この作品がゲゲゲの鬼太郎誕生の物語とか女性人気がどうのこうのとか全部吹っ飛びました。
これでもかと畳みかけるような展開に全く飽きることなくノンストップでエンディングまで突っ走って行ったシナリオ、本当に素晴らしい、その仕事っぷりに感動しました。エンターテイメントだったし昭和感たっぷりだったし鬼太郎だったし。
調べたら脚本が吉野で驚きました。
あのギルティクラウンの吉野ですよ!あれの後も仕事してるから、あれは何か事情があったんですかね。
こちらの記事を読むにシナリオは監督と二人で作り上げたようです。
きっと監督が優秀だったんだね、ギルティクラウンは監督があれだったんだね、と調べたら進撃の巨人の荒木哲郎で驚いた。んじゃ誰が悪かったんだよアレ。
令和の時代に作られた鬼太郎でしたが、舞台が昭和ってだけでは無く、ちゃんと原作者である水木しげるの想いも感じました。
今の若い人達は戦争なんて遥か遠い昔の出来事だと感じるでしょうが、私が子供の頃にはまだ戦争を体験した人達がたくさんおりました。何なら学校の先生が戦争帰りだったしなぁ。歯医者さんは特攻の生き残りだったし。何なら祖父は大陸帰りで、当時の事を聞いたことありました。
あの戦争はなんだったのか。この作品を見た若い人達が少しでも興味を持ってくれたらなぁ、なんて偉そうなことを考えてしまいました。私だって全然分かってませんしね。
元愛煙家だった私には最初から最後まで水木がバカスカ美味しそうにタバコを吸うシーンが気になりまくりました。禁煙して久しいのですが、ピースのフィルター無しをマッチ擦って美味そうに吸う度に、世界で一番美味しいタバコの味を思い出してしまいまた吸いたくなっちまいましたよ。こんなに喫煙シーンに力入れてるアニメ作品見たこと無いよ!
ちなみに世界一美味しいものを止められたのは、「こんな美味しいものが体に良い訳がない」と気が付いたからです。どんなものでも美味しいものは何かやべぇものが入ってるんですよ、ラーメンとか。
などと考えながら帰宅してる途中で気が付きました。「あ、やっぱりバディものじゃん、あの界隈の方々が大好きなバディものじゃん」って。面白かったからいいんだけどさ。アラフォーのオッサンでも楽しめましたので、興味を持たれた方は是非。
不満点としては、墓場鬼太郎を知ってる私からすると、この作品の後の展開がモヤモヤしちゃうのよね。ただ劇場版では元ネタと違うシーンがあったので、この世界戦では知ってる未来が変化してるのかもしれません。
パンフレットは案の定売り切れてましたので公式ショップで注文しておきました。届いたらまたここに感想をネタバレを含めて書こうと思います。