鹿沼の隅っちょから

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「鹿沼」でググった時に1ページ目に表示される事を目指していたのに鹿沼の事全然書いてません

ゴジラ-1.0 を見た(ネタばれ有り)

元々ゴジラ好きです。何かの同時上映で「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」を見たのがきっかけです。1984年(昭和59年)のゴジラを映画館で観てます。しかし、「シン・ゴジラ」まで触れることはありませんでした。大人になったからなのか、ハリウッド版が酷かったからなのか。そもそも「シン・ゴジラ」見たいと思ったのはゴジラだからじゃなくて庵野が監督だったからです。なので、私の中でゴジラの存在は小さくなっていたようです。

この新しいゴジラは全く見るつもりはありませんでした。監督があの山崎と知り「見たい」よりも「見たくも無い」という感情しか湧きませんでした。あのドラクエの監督だからね。私には悪評しか聞こえない監督でした。

しかし公開と同時に絶賛の嵐。映画を評論するような方々は勿論の事、畑違いな方々も絶賛してる状況を前に、もしかするとあの山崎でも面白いのか?と興味が湧きました。でもね、見よう見ようと思ってるのに気が付くと違う作品を見てしまっていたのよね(北極百貨店のコンシェルジュさん・駒田蒸留所へようこそ・鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎)。

で、やっと今回見れた訳ですが、感想を一言で言うと最高でした。

godzilla-movie2023.toho.co.jp

生きて、抗え。

焦土と化した日本に、突如現れたゴジラ

残された名もなき人々に、生きて抗う術はあるのか。

ゴジラ七〇周年記念作品となる本作

ゴジラ −1.0』で

監督・脚本・VFXを務めるのは、山崎貴

絶望の象徴が、いま令和に甦る。

youtu.be

ゲームやアニメなどでも良くある現象なのですが、昨今凝り過ぎた作品がある中において逆にシンプルに王道を突き進む作品に出会うと「これだよ!これでいいんだよ!」と嬉しくなります。この「ゴジラ-1.0」は正しくこれです。

ゴジラがヒーロー?怪獣と戦う?違うだろ、ゴジラは恐怖なんだよ、人間の敵なんだよ。どうしようもない程圧倒的で無力感に苛まされ存在なんだよ。そしてそれでも立ち向かうべき敵なんだよ。

そしてこれはゴジラなんだよ、ゴジラ映画なんだよ。リアリティとか科学的見解とか歴史感とか細けぇこぁいいんだよ!熱いストーリーと映像の凄さでんなもん吹っ飛ばせてればいいんだよ!

 

そんな訳で、私の評価はどちらかというと大絶賛です。

割と良くある戦争もののストーリーにゴジラを添えてみた的な作品ですので、賛否両論になる傾向にあるのは分かります。私もいろいろ気になった部分はありましたよ。

ゴジラが主人公にとって都合のいい存在になってる」

ゴジラが東京に来た理由が開示されてない」

ゴジラが東京を破壊した後海に戻った理由がわからない」

ゴジラがまた東京に戻ってくる意味が分からない」

ゴジラが頑張って立ち泳ぎしてるとしか思えないシチュエーションがある」

浜辺美波に手を出さない」

「ただの木造船の船長である佐々木蔵之介が終盤偉そうな立ち位置なのが意味不明」

「遺族に写真返せよ」

「手紙に嘘書く必要あった?」

「いくら数が多くてもあんな漁船で引っ張れるのか?」

浜辺美波に手を出さない」

「大混乱の銀座で主人公がヒロインを見つけ出せるのはご都合主義すぎる」

「いくらなんでもGHQの存在感無さ過ぎ」

浜辺美波に手を出さない」

でもね、そんなものを軽く吹き飛ばすほどの展開、そして迫力の映像。日本のVFXもここまで来たのか!とただただ驚きました。本当に凄い。最初は大戸島でのゴジラが歩いてるシーンとか人を襲ってるシーンにショボさを感じてたのですが、途中から何の違和感もありませんでした。特に海のシーンは凄まじい。あれ本当にVFX技術なんですか?ゴジラが本当に存在してるとしか思えません。

ゴジラの迫力がわかる15秒の最新映像が公開

個人的には戦争の扱い方が非常に良かったと思ってます。

調べるにこの監督の山崎貴は戦争もしくは戦後まもなくを扱わせると良い作品を作ることが出来るそうでして、ALWAYS 三丁目の夕日永遠の0アルキメデスの大戦は良作のようです。逆にそこを外れると駄目な人なんですね。だからドラクエがアレだったのか。

高雄や震電やチト(見てるときはチハたんと勘違いしてました)が登場するだけでもマニア垂涎ですが、そもそもこれを登場させるってことは監督がマニアなんでしょうね。もしかするとこれらを登場させたいがためにこの舞台設定にしたのかもしれない、なんてことを思ってしまいました。

なにより、あの戦争の悲惨さ惨さ理不尽さを描けていたと思うんです。そりゃ浅いかもしれませんが、ゴジラ映画の中にちゃんと入れてくれてると私は感じてます。最近思い出したのですが、私が子供の頃に、近所を唸りながら徘徊している爺さんや道路にじっと座ってる爺さん、昼から酔っぱらって絡んでくる爺さん等々、なんかヤバそうな人達が普通に居たんですよね。あの頃は近づいちゃ駄目な危険な存在としか思ってなかったのですが、もしかすると彼らは戦争帰りで精神的に壊れてしまったのかもしれない、と考えるようになってます。

そんな戦争帰りの主人公ですが、神木君の演技が胸に来ました。あの声にならない号泣、自虐的な笑い、死んだ者たちへの怯え。私は素晴らしかったと思います。演技が一番巧かったは子役の女の子だけどな!なんであんな歳で演技できるの?どうやって泣かせたの?調べたら2歳だってよ!とんでもねぇな!

 

「割と良くある戦争もののストーリーにゴジラを添えてみた的な作品」と評しましたが、言い方が悪いだけで大体合ってると思ってます。この作品は怪獣映画では無く、戦後まもなくを舞台にしたヒューマンドラマにゴジラが入り込んできた作品であり、ヒューマンドラマパートの出来も怪獣映画パートの出来もどちらも素晴らしかったと。

何より、クライマックスあたりで意味も分からない涙がチョロチョロと溢れてきました。あれ?俺泣いてるの?なんで?と自分でも驚きました。感情が動いたというより、脳みそにダイレクトに何かを喰らったようです。「この世界の片隅に」を見た時にも起きた現象なんですよね。もしかすると、私が太平洋戦争ものに弱いのかもしれません。

 

私の中で「シン・ゴジラ」を越えました。そして山崎貴なる監督を再評価しました。素晴らしかったです。歴代ゴジラ映画で一番の作品であることは間違いありません。

ゴジラに興味が無い方にも見て欲しい、そんな事を思ってしまいました。多くの方に刺さる素晴らしい作品ですので是非。

パンフレットも買いました。

 

ちなみに。この「ゴジラ-1.0」はゴジラを扱った戦後間もなくのヒューマンドラマでしたが、「シン・ゴジラ」はゴジラを使ったエヴァンゲリオンだったんだなぁと改めで認識しました。