4巻で一区切りついた薬屋のひとりごと。元々この展開を想定した上で1~3巻を書いていたのでしょうか。もしそうならば私は酷く勘違いしていたのかもしれません。侮っていましたよ!薬屋のひとりごとシリーズを!
壬氏が宦官ではないと知ってしまった猫猫。後宮内で皇帝以外のまともな男がいるのはご法度、それがばれないようにどきどきする毎日を過ごす。
そんな中、友人の小蘭が後宮を出て行ったあとの就職先を探していることを知る。猫猫と子翠はそんな小蘭のために伝手を作るために後宮内の大浴場に向かう。その折、気弱な四夫人里樹妃が幽霊を見たという話を聞いてそれを解決すべく動き出す。
一方、翡翠宮では玉葉妃の腹の子が逆子だとわかる。ろくな医官もいない後宮でこのまま逆子を産むことは命に関わると、猫猫は自分の養父である羅門を後宮に入れるよう提案するが新たな問題が浮上する。
後宮内で今まで起きた事件、それらに法則があることに気が付いた猫猫はそれを調べようとして――拉致される。宮廷で長年黒く濁っていた澱(おり)、それは凝り固まり国を騒がす事態を起こす。
相変わらず「ミステリーファンも大絶賛!」なる帯の煽り文句に違和感を覚えます。しかし、今回でこのシリーズが「小さな事件のミステリー」がメインではなくて、「大きな流れのミステリー」がメインであることを知りました。粉塵爆発とか壁を剥がすと絵が出てくるとかそういうありきたりなネタが主軸じゃないんですよ!って主軸じゃなくても恥ずかしいけどな。
正直いろいろと雑な部分はあるし、私の読解力が無いのか後から説明してくれるのか分からないけどモヤモヤした部分が多々残っておりますが、1巻から散りばめられていた伏線を回収しつつ大団円に持って行った展開は本当に素晴らしい。読んでいて高揚しました。
最初から想定して1~3巻を書いていたのでしたら、私はこのシリーズを侮っておりました。本当に申し訳ございませんでした。
前回も書きましたが、疲れないミステリーとして、軽い気持ちで読める物語として、私はこのシリーズが大好きなんです。その上で「いやいやへそ曲がりが多いミステリーファンは絶対にこのシリーズを褒めないよ」と思ってるだけですので。
ちなみに私はこのシリーズ、ジャンルとしては「俺ツエー系」だと認識してます。そして元々好きではあったのですが、4巻を読んだ今、私はこのシリーズのファンになってしまいました。