鹿沼の隅っちょから

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「鹿沼」でググった時に1ページ目に表示される事を目指していたのに鹿沼の事全然書いてません

朧月市役所妖怪課 妖怪どもが夢のあと 青柳碧人

私の大好きな作家である青柳碧人さんの妖怪もの。シリーズ3作目にして最終巻となっております。妖怪ものだけども基本的にはミステリー、だけどこの作品の本質は公務員の心意気だったりします。こういうミステリーなんだけど他の部分に力が入ってる作品、私は大好きです。

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妖怪課職員としての勤務も残りわずかとなった秀也は、自分の将来、ゆいとの関係に悩んでいた。そんな中、凶悪妖怪たちが次々と現れる異常事態が!? 秀也、朧月の運命は――!?

 シリーズとしてこの巻で完結しております。ちゃんと広げた風呂敷を丁寧に畳んでおります。当たり前のことっちゃあ当たり前なのですが、過去あらゆる媒体でこの「広げた風呂敷を畳めない」作品を目の当たりにしているので、それだけでも評価してしまう私がおります。終わり良ければ全て良し、読後感の良いエンディングでした。

 

ただ、今回は私が勝手に思っていたコンセプトとズレてたと言うか、違和感を覚えた部分がございまして。

今まで妖怪を使って悪だくみをするにしてもあまり害が無いと言うか「ちょっと困るわぁ」ぐらいだったのです。今回出てきた妖怪も、目が合ったら体が動かなくなる、という程度なのですが、そんな状態の人間を池に突き落とすシーンがありました。殺人行為ですよねこれ。敵だけどどこか憎めないと言うか、主義主張が違うだけって存在だったライバルがいきなりこれをやられたら驚くわぁ。敢えての演出だったのかもしれませんが。

 

青柳さんが妖怪もの?と驚きましたが、基本的にはミステリーで安心して読むこときました。公務員の在り方とかも勉強になりましたしね。これでシリーズとしては完結した筈のなのですが、あと2冊、妖怪ものがあるんですよね。続編なのか別物なのか分かりませんが、そちらも読んでみようと思います。

 

ちなみに、「終わり良ければ全て良し」って元ネタ何だろうと思ったらシェイクスピアだったのね、やべぇ全然知らなかったわ俺。