鹿沼の隅っちょから

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「鹿沼」でググった時に1ページ目に表示される事を目指していたのに鹿沼の事全然書いてません

悪魔のトリック 青柳碧人

私の大好きな作家である青柳碧人さんの作品。シリーズ化してないのか続編が出てないのか分かりませんが、2019年5月に発売されたのでシリーズ化する可能性はあるのかも。Wikiで調べたら同じ祥伝社で短編を、しかも悪魔のトリックっぽいタイトルだから望みはありそうですね。そんなシリーズ化を望むぐらい私は好きな作品です。

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www.sun.s-book.net

麻薬の取引現場を押さえそこねて負傷した新宿東署の刑事有馬孝信は、職場復帰後、不気味な刑事九条一彦の下で特別任務を命じられる。

九条によれば、この世には悪魔が存在し、強い殺意を抱いた人間に一つだけ【悪魔の力】を授けるという。

草木を腐らせる力、水を宙に浮かせる力…不可思議な力と殺しはどうつながるのか?超難解、離れ業トリックに刑事二人が挑む!

あらすじを読むと荒唐無稽で全然ミステリーにならないじゃん!と思っちゃいますが、読めば「ああ、間違いなく青柳さんだわぁ」と思います。構造は妖怪シリーズと同じです。悪魔から貰った力で人を殺すのですが、それをどういう力でどのように殺したのか、の謎を解いていく形です。

「いや、悪魔から力を貰えるのなら普通に殺せばいいのに」と思ってはいけませんよ!あくまで悪魔からは「草木を腐らせる力」とか「水を宙に浮かせる力」とか、なぜか間接的な力しか貰えないんですよ!じゃないと物語が成り立たないじゃないですか!

なので、この構造に納得できないと読んでいてまどろっこしいのですが、青柳さんが好きな私は何の問題も無く、寧ろ非常に楽しく読み進めることが出来ました。「ああ、いつもの青柳さんだわぁ」って。

 

ミステリーとしては邪道なのかもしれません。だた、謎を提示されてそれを推理していく過程は間違いなくミステリーだと私は思ってます。一つ一つの事件を解決していきながらも大きなストーリーが進行していく構造も青柳さんっぽいですね。

私は非常に楽しめた作品でした。