ニンテンドースイッチのゲーム『春ゆきてレトロチカ』は実写のアドベンチャーゲームで映像も演技もセットも小物も衣装もシナリオも素晴らしい出来なのに推理編の操作性や視認性が最悪で台無しにしてる勿体ない作品だったよ!
配信日 2022年5月12日
メーカー スクウェア・エニックス
ジャンル アドベンチャー
価格 7,480円
この時代に実写のアドベンチャーゲームを作ったそのチャレンジ精神に惚れこんで購入しました。だって絶対に売れないし採算取れないもの。買うのは私のようなへそ曲がりゲーマーぐらいでしょう。
そんな私がネタバレなしで感想を書いていきます。最初に断言しておきますが、私はこの作品を発売日に購入しプレイ出来たことを幸せに感じております。
面白さ
アドベンチャーゲームの面白さはシナリオと演出で決まるならば、私はこの作品を非常に高く評価します。シナリオを書いた伊東幸一郎さん、本当に素晴らしい仕事をしてます。
ミステリーを幼少期から嗜んでいた私ですが、シナリオは非常に楽しませて頂きました。古くからある良家、不老の果実、桜の木の下の白骨、100年前の事件等々、江戸川乱歩で育った私には擦り過ぎたワードですがそれでもワクワクしてしまうものです。
ただ、ミステリーとして完璧なのか?と問われると、雑な部分もあるしありきたりな部分もあるしつっこみどころも多々あるしルール違反な部分もあります。しかし、「細けぇこたぁいいんだよ」とメインストーリーの面白さでグイグイと引っ張っていく力強さがありました。特に後半のこれでもか!と畳みかける展開に圧倒されっぱなしでした。
脚本が圧倒的に面白ければ些細な部分は気にならない、こういう力任せな展開が大好物なので評価が高くなってます。逆に言えば、そういう細かい矛盾とか疑問とか気になってしまう人にはオススメできません。あと純粋なミステリーを期待してる方もアレルギー反応が出るかも。
操作性
これが酷い。ここまで分かりにくく操作しにくいUIは本当に酷い。誰が考えたのでしょうか。酷い。酷すぎる。何故こんな面倒な仕様にしたのでしょうか。スタッフロールに「UIデザイナー」みたいな役職の方がいらっしゃいましたがこの人達が悪いんですかね。はっきり言って最悪です。ここまで酷いUIは40年近くゲームをプレイしてる私ですがお目に掛かったことのないレベルです。酷い。このUIのお陰でこの作品の評価を大幅に下げていると言っても過言ではありません。
下記の画像が推理編の画像です。
右のアイコンを左の空いた枠に埋めていくのですが、その操作方法が
右スティックでカーソルをアイコンまで移動
アイコンをZRボタンを押し続けながら
右スティックで所定の位置まで移動
なんですよ。左スティックじゃないよ、右だから右。しかもコントローラーの右上のボタンを押し続けるんだからね。推し続けながら同じその右手の親指でスティックを操作するんだからね。
最初にこの操作方法の説明を私が見てなかったのか、画面下にある説明を理解できなかったから悪いのか、最初のこのパートで意味が分からなくて数分悩みこんでしまいました。分かりにくい、ただただ分かりにくい。そして分かったところでやりにくい。
この「ZRボタンを押し続けながら」ってのが最悪でした。仰向けに寝っ転がりながらプレイしたら、右ステックを操作するとどうしてもZRボタンから指が離れちゃうんですよ。だってZRボタンも右手なんだもの。そもそも押し続けなければならない理由が無いんですよこれ。一回選択したら移動できるようにすればいいだけなんですよ。
さらに枠に中々収まらない!無駄に斜めに描写してるから奥の方とか分かんねーんだよ!これデザインした奴本当にプレイヤー視点で考えたのか?
操作性の悪さとに視認性の悪さが重なって最悪のUIになってます。この仕様にした意味を見出せないのは私が悪いんですかね。作品の評価さえ落とす糞UIを心の底から恨んでます。
UIデザイナーも酷いですが、最終的にそれを採用した責任者が一番悪いんですけどね。
グラフィック
ゲームにおける実写ですとそのクオリティの低さが見受けられたりしますが、この作品のクオリティの高さはとんでもないです。役者さんの演技力って凄いんだなぁ、と当たり前のことを再認識しましたし、衣装も小物もセットも建物も素晴らしいし、そもそもの映像力が凄まじい!素人ながらカメラアングルやカット割りや構図等々、そこらへんのテレビドラマよりもクオリティが高かったです。
動画を見て貰えばすぐに理解できると思います。本当に素晴らしいんですよ。これがゲームの映像とは思えない!すべてのシーンでショボいパートがないんですよ。本当に素晴らしい仕事っぷりです。
改めて見るに全編美しいんだよなぁ。外だろうと建物の中だろうと。
残念な部分としては、暗い場所のシーンが全然見えなかったところぐらいですかね。私の中では満点です。予算、とんでもなく掛かってるんだろうなぁ。
ちなみに私、あまりテレビ番組を見ないのでここに出てくる役者さんは知らない方ばかりでした。あ、勿論榎木孝明と横山めぐみは知ってるよ!あと筒井真理子さん。
彼女が第三舞台の時から知ってまして、フジテレビの深夜番組『IQエンジン』に出てたのですが覚えてる方いらっしゃいますかね。
第三舞台出身で今でも第一線で活躍してるのって他に筧さんと勝村ぐらいかなぁ。個人的には大高さんが大好きでした。って古田新太も出てたのか。あとADにサイコパスの監督の名前があるんだけど!知らなかったなぁ。
主役の桜庭さんは後から三菱地所のCMの人だと知りました。このゲームをプレイして印象が変わりました。和服姿の凛々しい佇まいが良かったわぁ。
あと元仮面ライダーの人は名前だけ知ってました。
調べて驚いたのが池内万作さんですね。伊丹十三と宮本信子のお子さんが役者をやってたなんて!
この作品を通じて、ここに出演された役者さん全員好きになりそうで困る。
サウンド
アドベンチャーゲームのサウンドって評価が難しいのです。記憶に残るBGMは無かったのですが、邪魔だとか合ってないと思ったシーンが皆無だったので、きっと良かったのだと思われます。
主人公が何かに気が付いたときに良く入るSEが無かったのが個人的には高評価です。
リプレイ性
ほぼありません。
全てを知った後にもう一度プレイすると違う楽しさが生まれるとは思いますが、新しい要素はなさそうです。個人的にはアドベンチャーゲームはそれでいいと思います。
感想
アドベンチャーゲームが好きな私。良く出来た脚本、あえて実写にしたチャレンジ精神、その実写のクオリティの高さ、本当に素晴らしい、素晴らしい作品です。
UIを除いては。
この糞UIのお陰でほぼすべてを台無しにしてると言っても過言ではないでしょう。私は最後までこの操作性に慣れませんでした。このパートになるとイライラがMAXを越えてたっけな。推理編になる度にこれを作った奴を恨みながら操作してましたよ。ゲーム性が良くてもUIが酷いと作品自体の評価にここまで影響が出るんだな、と改めて認識しました。
ハッキリ言います。オススメしません。だけど、それでも私は大好きな作品なんです。このチャレンジ精神には拍手を送りたいんです。
インタビューの記事がありましたので貼っておきますね。
私にとっては、記憶に残る素晴らしい作品でした。この作品が世に出てきてくれたことに感謝してます。本当にありがとうございます。
評価
良い点
・素晴らしい脚本
・圧倒的な映像のクオリティ
・チャレンジ精神
悪い点
・推理編の操作性
・推理編の視認性
・合わさって最悪なUI
評価
6/10
正直このUIでは人にオススメ出来ません。
それでも、それでも私はこの作品が大好きです。可能性は絶望的に低いけど、続編があればまた予約して購入します。本当に素晴らしいんですよ!UI以外は!!
あー悔しい。勿体ない。残念で仕方が無い。