とあるきっかけで出会ってしまった『最後にして最初のアイドル』なる作品の作者である草野原々、気が付いたらこの方が書かれた作品を買っておりました。その中の一冊がこの『これは学園ラブコメです。』です。ハヤカワではなくライトノベルのレーベルであるガガガ文庫からの出版であることに驚きました。
しかし、私は読む前から分かっておりました。これはライトノベルじゃない、そして、学園ラブコメでは絶対にありえないと。
これは学園ラブコメなんですか?
俺の人生、なんだかラブコメみたいだな。
主人公である高城圭はそう思った――。
そうだ! お前はラブコメの主人公であり、SFとかファンタジーとかそんなジャンルのキャラではない! だから大人しくラブコメらしい展開に従ってくれえええ!
嘆くその影は言及塔まどかこと、虚構を司る力が擬人化された存在。
そう、これは、まどかと圭が七転八倒しながらラブコメの世界をSFやらファンタジーの浸食から守り抜く物語。
SF界の超新星が描く、ハイテンション×メタフィクション学園ラブコメ開幕!
って、俺の高校生活、一体どうなっちゃうの~~!?
270ページありますが学園ラブコメを保っていられたのはわずか31ページでした。うん、知ってた。知ってたけど、ここから想像さえ出来ないというか思いつきもしない展開が始まります。って目次に思いっきり書いてあるけどな!
第一章 これは学園ラブコメです。
第二章 これは学園ファンタジーです。
第三章 これは学園SFです。
第四章 これはなんでもありです。
ヒロインが3人いてそれぞれがラブコメ・ファンタジー・SFを担当するんだろうな、と想像したらその通りではあったのですが、あらすじにあるように、この作品は
なんです。って意味わかんないですよね、でもね、読み終わった後にこの単語の羅列にしか思えないワードも、ああなるほどその通りだわ、と納得できます。
こんな作品、草野原々しか書けないだろうな、というか誰も書きたくないでしょうね。思いつきもしないし。なんなんだこれ。
メタ展開もここまで振り切れると感動さえ覚えるんだな、とふと思った私ですが、そんな感想を持ったのは少数派でしょうね。「あとがき」がこれほど強烈な力を持ってる作品を私は知りません。
ネタバレなしでこの作品を語るのはどう考えても無理なのですが、自信を持って言い切れることがございます。この作品を楽しめる人はかなり限られてるでしょう。私のような訓練された者しか楽しめません、いや、そもそも私は楽しめたのだろうか?
普通の作品に飽きた方、いつもと違う何かに触れてみたい方、是非脳が揺さぶられるこの作品の世界を覗いてみて下さい。私はオススメしません。