やはり今回も熱くそして面白かった「りゅうおうのおしごと!」10巻です。面白い作品はどうしても一気に速読気味に読んでしまう悪い癖がございまして、このシリーズはどうしてもその癖が出てしまいます。勿体ない!もっとじっくりと読みたかったのに!
竜王、遂に小学校の教壇に立つ!
「澪たち、くじゅるー先生に鍛えてもらいたいんです!」
小学生の将棋大会『なにわ王将戦』で優勝を目指すJS研。
しかしあいの新しい担任にJSとの同居を問題視された八一は、自ら
の潔白を証明するため小学校で将棋の授業を受け持つことに。
一方、女流名跡リーグ進出を目指すあいの前には謎の女流棋士が立ち
はだかり、そして銀子は地獄の三段リーグで孤独な戦いを始めようとしていた――。
それぞれの戦場で繰り広げられる魂の激突。決意と別離の第10巻!
小さな背中に翼が生えたとき、天使は自らの力で羽搏き始める!!
義務教育期間中の奨励会員の苦労とか三段リーグの過酷さとか、いかにも白鳥士郎作品らしくさらっとしてるのに濃密な情報量で描かれております。
彼の真骨頂です、取材力とそれを適切なサイズにして作品に反映させる能力は。
私だったらもっと反映させちゃうだろうと思える素材を、読者のため作品のバランスのため適切に処理してるんですよね。だから読みやすいしくどくないし、それなのに普通なら業界内部の人しか知りえない濃密な情報を知ることができるという。一冊で一個や二個あれば購入した意義があると感じられるような情報が、小説ましてやライトノベルにもかかわらず、今回も無造作にゴロゴロと転がっておりました。本当に作者の取材力と切り取る能力は素晴らしい!
あまり興味のなかった将棋の世界が、このシリーズのお陰で見え方が大きく変わりました。
知ってる人は元ネタを思い浮かべてニヤニヤしてもいいし、知らない人は新しい知識を得られるしで、どんな方にもおすすめできる素晴らしいシリーズです。
惜しむらくは、ライトノベル特有のネットネタやロリコンネタ等のノイズが大きいことですかね。私はそれさえも楽しめるのですが、通常の小説しか読んだこと無い人には眉を顰める箇所があるかもしれません。
それでも、私はこのシリーズを、というか白鳥士郎さんの作品を多くの人に読んでほしいと思っております。
気が早いのですが、次のシリーズはライトノベルじゃないレーベルで書きませんか?
おまけとして。
将棋に興味を持ったらこのゲームでルールとか知るのも手ですよ!