三段リーグ編になってから内容がさらにシビアになってる『りゅうおうのおしごと!』シリーズ。将棋の世界は厳しいとは知っていたのですが、知ってたつもりになってただけだったと反省しております。私はあの世界を微塵にも理解出来てなかった、将棋というゲームで命を削って人生を賭けてすべてをそこに注ぎ込んでる人達を私は全く見えてなかったんだと改めて思い直しました。
そしてこの12巻は、辛い、本当に辛い。なんで俺こんなに泣きながらラノベ読んでるんだろうか。
奨励会三段リーグ。
四段(プロ)になれる者は2人だけという苛酷な戦場。そこに史上初めて女性
として参戦した銀子は、八一と交わした約束を胸に封じ、孤独な戦いを
続けていた。八一もまた、新たなタイトルを目指し最強の敵と対峙する。
そんな2人を複雑な思いで見守るあいと、動き出す天衣。そして立ち
はだかる奨励会員(なかま)たち。
「プロになるなんて、そんな約束をすることはできない。けど――」
大切な人の夢を踏み砕くことでしか夢を叶えられない。それが将棋の
世界で生きるということ。
銀子が、創多が、鏡洲が……純粋なる者たちの熱き死闘に幕が下りる
奨励会編堂々のフィナーレ!
気が付いたら発売日間近でヨドバシ.comでは通常版が売り切れていたためやむなく小冊子付限定版を購入いたしました。通常版の表紙の方が好みなのですが、限定版の表紙を捲ったら同じ絵(だけど切り取り方が違う)があったので、そこが気になった人でも限定版で問題ないかと思われます。
小冊子の表紙が本編の表紙と同じなのが不満ちゃあ不満です。
中身は作者自身が書いた空銀子の設定とイラストと描きおろし短編「銀子とただイチャイチャするだけの話」です。イラストも良い感じでした。
ってまだ小冊子読んでないんだけど。
いつもネタバレなしで軽い感想を書いておりますが、どう書いていいのか分かりません。とりあえず泣いたって書けばいいのでしょうか。
辛香さんの奨励会復帰のきっかけ。私はこの仕掛けで涙が止まりませんでした。なんなん、なんなんこれ。よくこんなこと思いつくな。元ネタがあるのでしょうか。もしあるのならそれはそれで泣くけど。
そして鏡洲さん。何書いてもネタバレになりそうだから全然書けないけど、将棋の世界は、勝負の世界は、誰にだって平等なんだって知りました。強い方が勝つ、ただそれだけ。
将棋に詳しい人ならば元ネタが分かるエピソードが満載な『りゅうおうのおしごと!』ですが、棋譜も分かる人には分かるようです。他の方の感想を読んで知ったのですが、すでに藤井聡太七段の棋譜が使われてるようです。作中で「そんなマンガみたいな展開ある訳なかろうぞ」と思ったのですが、実際にあったんだから仕方がない。
って読んでも今一つ何が凄いのかよく分かってない私がおりますが。
そんな将棋に詳しくない私でも楽しめるのが『りゅうおうのおしごと!』シリーズなんです。世の中にこんな世界があるのか、将棋の世界ってこんな世界だったのか、と知って頂くには最高の作品です。ライトノベルのノリが邪魔だったりしますが、これはあくまでライトノベルを読む年代をターゲットにしてるので目を瞑りましょう。
将棋を知らない人、あまり興味が無い人にこそ読んで欲しいシリーズです。是非読んでみて下さい。
蛇足ですが。
今回、作者のあとがきが痛く胸に刺さりました。30歳まで司法試験にチャレンジしてたとは知りませんでした。法律の勉強だけしてた人がそれ以外の道で生きていく、って想像しただけで絶望しか思い浮かびません。それがなんでライトノベル作家になったのか、『のうりん』のヒット、そしてその縁で本屋の方と結婚等々、作者の物語にも興味があります。