多くの人は新海誠は『君の名は』の監督なのでしょう。しかし私は、『イース』OPの新海誠であり、『ef』OPの新海誠なんです。
イースⅡエターナル(win版)オープニングムービー 2000年作品
ef - the latter tale. demo movie
彼が努力して作品を作り上げステップを踏んでいったのを見ておりました。『秒速5センチメートル』はBDを購入するほど大好きな作品です。『言の葉の庭』も素晴らしかった。
私は『君の名は』を応援がてら初日に観に行きました。作画や演出は素晴らしかったものの、脚本がエンターテイメントに全振りしてるのが新海っぽくなくて残念な気持ちになりました。しかし、興行収益はとんでもない額を叩き出し、結果としては大成功となりました。
プロデューサーの川村元気が売れる脚本に修正させてたのかなぁ、なんて推測してました。私が否定した作品が多くの人に認められたことにより、私の中で、新海誠は違うステージへ行ってしまったのだと認識しました。もう私が応援する必要のない人になったと。
『天気の子』が公開されたとき、観に行くつもりはありませんでした。
しかし、あまりの評判の悪さに逆に興味が湧いてしまい、純粋に一本の作品として観に行こうと思ってしまいました。
結論から言いますと、薄っぺらくご都合主義でつじつまの合わない酷い脚本にニヤニヤしてしまいました。
相変わらず作画も良く単純に絵が綺麗でその点に関しては素晴らしいです。
しかし肝心の脚本が酷い。誰か駄目だしする人はいらっしゃらなかったのでしょうか。立場的に新海誠が偉くなっちゃってそういう存在がいらっしゃらないのでしょうか。川村元気あたりが言わないと駄目だろうよ。あなたはそのためにいるのではないでしょうか。
部分部分で見れば本当に素晴らしいんですよこの作品。
あのシーンは良かった。このシーンは素晴らしかった。あの時のシーンは美しかった。あそこからこんな展開になるなんて思わなかった。そんなシーンばかりなんです。
しかし、いくつかの「こういうシチュエーションが欲しい」って発想から逆算してそれらを繋ぎ合わせているから、一本の物語として見た場合矛盾やご都合主義や破綻が目立ってしまったのではないかと推測しております。
逆説的に、『君の名は』はまだ脚本がしっかりしてた方だった事に気がついて驚きました。そのぐらい、『天気の子』は酷いです。ツッコミどころ満載です。
いやね、新海さんがやりたいことはなんとなくわかるんです。好きなことを全部この作品にぶち込んできたんだろうなって。観ていていろんな作品名が浮かんできたんですよ。これはあの作品だな、こっちはこの作品か、みたいな。
新海誠が大好きな作品を分解して貼り合わせたのが『天気の子』なんだろうな、と。
ジブリエヴァパトレイバーあたりは分かりやすかったです。エロゲはほとんど知らない世界なのでどの作品から引用したのか感じることが出来ませんでした。主人公が手にしてしまったアレなんかはエロゲによくあるパターンな気がする。
これはアニメやエロゲを嗜んできた中年に向けた作品です。そこら辺の人達は、なんだかんだ楽しめる作品でしょう。実際私もその一人です。ただ、普通に物語を楽しむような観方はオススメしません。本当に脚本が酷いですから。
もしかすると、新海誠は長編作品に向いてないのではないでしょうか。次回作は短編、もしくは『秒速5センチメートル』のような短編を並べた構成の作品で勝負して欲しいです。
あとでネタバレありの感想を書く予定です。どう考えても矛盾点とかモヤモヤした部分を羅列するだけのツマンネーものになりそうです。手錠とか。