ずっと避けていた『のうりん』の13巻を読みました。私が大好きなシリーズですが、これ以降発行されておりません。最終巻なのかと思い中々手が出せなかったのですが、覚悟を決めて読んでみたら最終巻じゃなかったよ!寧ろ次巻が出る可能性があるのに2年以上音沙汰無しなのか!とそれはそれで悲しい気持ちになりました。
バレンタイン終了のお知らせ!?
俺の名前は過真鳥継。岐阜県の農業高校で寮暮らしをしている。同じ寮生の木下林檎が姿を消し、親友の畑耕作がショックを受けると思ったんだが……その耕作が、次期生徒会長に立候補すると言い出した。ちょっと驚いたが、俺も農も賛成だ。耕作が前向きに日常を取り戻そうとするなら、協力するに決まっている。だが、そんな日常を震撼させる事態が発生!なに!?『バレンタイン終了のお知らせ』だと!? こんなことをするのは……あの先生(ひと)しかいない!!
遂にあの巨乳があの眼鏡に告白!? 変わりゆく季節の中で、誰もが大切な決断を下す第13巻!
取材で得た情報を元に描く農業高校が舞台のライトノベルです。私が農業および農業高校の知識が無かったので、1巻を読んだ時から完全に嵌まり込みました。ここには私が知らない世界があったんです。
正直言いますと、ライトノベル特有のノリってやつが邪魔です。一時期年間100冊以上ライトノベルを貪ってた私でも、ロリだの巨乳だのネット界隈で知られているネタだの、うんざりするぐらい詰め込まれております。しかし、それを軽く凌駕するぐらい、読んでいて感心する農業関連のネタがこれでもかと描かれております。
13巻ではこの事件を取り上げておりました。
この問題を取り上げるライトノベル作品ってだけでも稀有な存在ですが、作者はさらに切り込んでいくんです。
産業廃棄物処理業「ダイコー」(稲沢市)による廃棄食品の横流し事件で、発覚の端緒となった
大手カレーチェーン、壱番屋(一宮市)の冷凍ビーフカツ。実は、衣の中身は一枚肉ではなく、
複数の肉片をくっつけた「成型肉」だ。だが、壱番屋の店舗に成型肉の表示はなく、今回の事件を
担当する県職員も本紙が指摘するまで「一枚肉」と誤解していた。かつて成型肉とうたわない
ステーキが不当表示と問題視されたが、カツは表示しなくてもいいのだろうか−。
実はこの事件で一枚肉ではなく複数の肉片をくっつけた成型肉であることが発覚したんです。これが不当表記に当たるのかどうか。作中では主人公を含むクラスメイト達とクイズ形式で様々な事例を挙げて法的に〇か×かを提示していきます。
例えば、国産ウナギと表記されているにもかかわらず、実態は中国で養殖された後それよりも長い期間日本で養殖されていたウナギだった!〇か×か?というクイズが出されました。
私はどう考えても×だろうと思ったのですが、日本の方が期間が長いので〇なんだそうです。驚きと同時に、この表記に関しても様々な問題を含んでいるんだな、と改めて感じることが出来ました。
確かに「手作りハンバーグ」の手作りの定義が難しいし、「おふくろの味」と言っても作ってるのはおっさんだって問題ないっちゃ問題ないわけだし。
このように、ライトノベルとは思えない情報が詰め込まれております。とある巻で肉用牛の話がございました。私は読みながら号泣してました。そして、ヴィーガンの主張していることが分からないでもないと感じてしまいました。
ヴィーガニズム(英: veganism)または絶対菜食主義(ぜったいさいしょくしゅぎ)は、動物製品の使用を行わない生活様式である。
霜降り牛の霜の部分は脂肪です。脂肪を付けさせるためにあらゆることをしております。人間が美味しく食べるために、牛達は酷い状態に追い込まれるんです。
放牧をさせてしまうと、筋肉が発達して霜降りになりにくいため放牧は行われず牛舎に収容し、牛本来の食べ物である牧草ではなく穀物飼料が多給される。筋肉にサシを入れるという通常ではない状態を作り出すために、脂肪細胞の増殖を抑える働きがあるビタミンAの給与制限が行われるが、これにより牛の健康上の弊害が起こる。ビタミンAの制限に失敗した時の失明、夜盲症、関節炎、食欲喪失、ズル(筋肉水腫)の発生などである。顕著な欠乏症状が現れなくても、目や歩行に異常が現れたり、被毛にツヤがなかったり、食欲が低下するなどの症状があわられる。
それでも私は食しますけどね。知らないで食すより、それを知った上で食した方が良いと思ってます。私たちは様々な命の上に成り立ってると。それに改めて気が付かせてくれたのがこの『のうりん』だったりします。
ロリだのホモだの巨乳だのライトノベル特有のノリに耐えられる方、是非『のうりん』シリーズを読んでみてください。私はこの知らなかった世界に魅了されました。
感化されて農業高校の文化祭とかいって農作物購入したりしました。彼らの研究内容とか見て「なにこれ高校生が研究する内容なのこれ」とその志に泣いてしまったりしました。のほほんと高校を過ごしてきた私には眩しすぎました。
ミステリーや歴史小説等様々な作品を読んできた私ですが、ライトノベルにもかかわらずこの『のうりん』シリーズは、私の人生において重要な作品です。農業を全く知らない方にこそ、是非読んで欲しいシリーズです。
で、最終巻はいつですか白鳥さん!