私が今一番大好きなシリーズかもしれません。
私は数学が好きではありません、言い間違えました、嫌いです。
そして訂正します、嫌いでした。
このシリーズを読んで、数学に興味を持ち、そして「もしかして楽しいかも?」なんて思えるようになりました。
私の中ではこのシリーズは好きというか、義務であり尊敬の対象であり偉大な存在です。
あらすじ
警視庁の武藤は、群馬の大地主の血を引く亀倉行俊の葬式に潜入した。彼の家から、黒い三角定規との繋がりを暗示するものが見つかったからだ。かて行俊の祖先は鶴亀と名乗っていたが、莫大な財産をめぐる相続問題により、「鶴ノ森家」と「亀倉家」に分裂していた。二つの家に隠された秘密ととは――。血なまぐさい事件が、浜村渚によって数学的解決をみる!
ミステリー好きはタイトルでも気が付くし、読んでいてすぐに感じるはずです。
「これ横溝正史パロってるな」と。
作者があとがきに書いてますが、もし浜村渚シリーズで犬神家の一族をやったらどうなるんだろ?って発想からこの作品が生まれたそうです。
あのおどろおどろしいものをライトな感じの浜村渚でやろうとする発想もすごいけど、ちゃんと書ききってしまったことも凄い!やはりこの人の才能に惚れてしまいます。
そしてミステリー好きはさらに気が付きます。
「これ、アレをやってるな」と。
鶴さんチームと亀さんチームで視点を変えてほぼ交互に話が進んでいくこの構図、間違いない、やってるな、とわかります。
さらに屋敷の見取り図。あー、仕込んでる仕込んでる、って。
それらを分かった上で忘れて読みふけるのがミステリー好きの読み方です、たぶん。
この作品もそうやって読めば楽しさ倍増、そして出来れば2週目も楽しめると思います。
今回は村の掟により方程式が使えません、ってなんだりゃ、って設定です。
しかし、私も同じようなシチュエーションがあったりなかったり。
小学生の我が子に算数を教えるのに、方程式で一発回答できる問題なのに習ってないから使えない!んじゃこれどうやってやればいいんだ?と悩んだ記憶がございます。
当時の私は苦痛でしたが、この作品はそれさえ面白く料理してしまいます。
今回はブリアンションの定理なるものが出てきました。
文字だけの説明見ても分からないし面白さなんか微塵もありませんが、これが青柳さんの手にかかるとあら不思議!なんだか楽しいものに見えてきてしまいます。
この感覚、ぜひ作品を読んで体験してほしいです。
そんな訳で私は3時間ぐらいで一気に読み込んでしまいました、勿体ない。
毎回大切にゆっくり読もうと思うんですけどね、気が付くと先が知りたくて一気に読んでしまうんだよなぁ。
そのぐらい面白いです、浜村渚シリーズ。
数学が好きな人は勿論、嫌いな人にも、いや寧嫌いな人こそ読んでほしいシリーズです。
是非!