鹿沼の隅っちょから

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「鹿沼」でググった時に1ページ目に表示される事を目指していたのに鹿沼の事全然書いてません

巴里マカロンの謎 米澤穂信

帯に書いてありますがもう11年も間が空いてたんですね。そりゃ年取る訳だ。

私の大好きな米澤さんですが、その中でも小市民シリーズが一番好きなんです。というか米澤さんの作品を最初に読んだのが『春季限定いちごタルト事件』だったからね。本屋でこれを見つけた時は思わずこれが出てしまいました。シリーズの復活は本当に嬉しいです。

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「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店に行ってマカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか? 小鳩君は早速思考を巡らし始める……心穏やかで無害で易きに流れる小市民を目指す、あのふたりが帰ってきました!

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

  • 作者:米澤 穂信
  • 発売日: 2020/01/30
  • メディア: 文庫
 

『春季限定いちごタルト事件』のホットミルクココアの謎を解き明かすところで感銘を受けた私。それまでミステリーものを結構な物量を読んでた私にとって物凄い衝撃でした。それからは米澤さんの作品をすべて読みつくし新刊が出れば購入するぐらい好きな作家さんです。

それなのにこの作品が発売されていることを知らなかったんだけどね!やはりたまに本屋に行かないと駄目ね。

 

今回は4つの短編となってますが、このシリーズはこの形でいいんじゃね?と思ったりして。どの短編も「そうそう、これが小市民シリーズだよねぇ」と読めばそんな感想が出てくる良作なのですが、私個人としては特に「伯林あげまんの謎」が突き刺さりました。

冒頭で答えが提示されてるのですが、どうやったらそこに結び付くのかが全く分からないまま物語が進んでいき、何も解決の糸口が見つかってない段階で謎が開示されていくこの感じ、間違いなく米澤さんだし小市民シリーズだし最高です。

 

ミステリー小説は読んでいて謎が分かってしまうと興ざめです。逆に分からなすぎるとヒントが少なすぎると不満を覚えます。今まであまり使われていないトリック等を持ち出すとルール違反とか邪道とか貶されます。

ミステリー小説を愛する者は実に面倒くさい存在なのです。そんな人達に称賛され続ける訳ですから、米澤穂信なる作家は本当に偉大だと私は思っております。

興味が少しでもある方は是非米澤さんの作品を読んでみて下さい。出来れば『氷菓』からがおすすめです。