私が正しくこの世代であり、最初の被害世代です。
就職活動を数年後に控えた私が、すでに就職していた従兄弟に何をしたらいいのか聞いた時の回答を今でも覚えています。
「資料請求して入ってるテレカ集めて売れば小銭稼げる」
彼は100社以上資料請求したようでした。
数年後、私は何十社も資料請求しましたが、送られてきたのは僅か4社でした。
そして、そのうち社員を募集していたのは2社で、そのうちの1社は1名のみでした。
私が大学を卒業する年に就職氷河期が来ました。
いきなり来たんです、何の対策も打てませんでした。
過去の先輩方の成功例も全く通用しません、何故なら採用人数が0名か1名なんだから。
そしてその枠はすでに縁故で決まってるんです。
んじゃ説明会とかに参加するなよと思うのですが、毎年参加しないと次の年の枠がなくなってしまうからやむを得ないそうです、と申し訳なさそうに人事部の人が言ってました。
大手町の就職セミナー、渡された整理券の番号は4桁でした。
始発で友人と東京に来たのに、会場に入れるのは午後からです、とか説明を受ける。
なんだこれ。
暇なので友人と前に並んでいた女性二人に、田舎から来たからよくわかんないんですいろいろ教えてくださいみたいなことを言って声をかけた。
女性はもっと酷い状況で、セミナー参加企業の90%以上は採用0名だった。
それでも参加しないといけない状況だったようで、資料どころか会社の説明会さえ参加できない状況とのこと。
ふうんそうなんだとうなずいてたら馬鹿な友人が「ところでどこの大学なんですか?」なんて聞きやがった。
馬鹿かお前、聞いたら俺らも答えなくちゃいけないじゃんか、こんな5流大学の名前なんか言えるかよ、と思ってたら帰ってきた答えが二人とも「東京大学です」と。
東京大学?ふうん、なんかシンプルな名前だな、東京って名乗るってことは埼玉にあるんだなそうに違いない、学生とか地元の人は略して「とうだい」とか言ってるのかなぁ。
え?とうだい?東大?!
生まれて初めて見た東大生は女性でした。
そんな訳で私は何とか1社だけ内定を取れました。
同級生はみんな優秀なのか、結構な数の内定を取れてました。
本当の就職氷河期は、実はこの次の年からだったんですよね。
なりふり構ってられなくなったのか、ほぼすべての企業が「採用なし」を打ち出しましたから。
どこかで見たのですが、私と同じ世代のTBS安住アナウンサーがバブル世代に対して相容れることは出来ない、ような発言をしていたようです。
私もです。
バブルの恩恵をあまり受けることなく、いきなり奈落の底に突き落とされましたからね。
その後の世代は生まれたときから景気が悪いから「そういうものだ」と生きていけたのでしょう。
でもね、我々世代は育った時と社会人になる前で、世界が一変してしまったんです。
笑ってしまうかもしれませんが、本当に会社のために生きるんだと思ってたんですよ。
良い学校に行って良い会社に入れれば、良い人生だと思ってたんですよ。
その考えが中々抜けないんですよ。
サービス残業とか休日出勤とか、そういうの率先してやってるって、きっと俺らの世代なんだと思うんです。
そしてそれを押し付けているのも。
俺ら、それしか知らないし、それしかないんです。
そして、団塊ジュニアで人数も多い。
私が言うのもなんですが、一番能力のない人が多い世代だと思います。
競争して競争して、その先に何もありませんでしたからね。
裏切られた気持ちがあるんですよ、誰に裏切られたのかは知りませんが。
我々世代は所得も低いようです、そりゃそうだ、毎年給料上がる額が少ないし、出世するにも上が詰まってるし、下からもっと安い給料で働く世代がいるし。
そりゃ結婚しないし子供も作らないよ、だから家も建てないし、車も買わない。
「若者の〇〇離れ」なんて言ってるけど、我々の世代からすでに離れてるからな。
バブル世代が偉そうに言ってるのを見るたびに虫唾が走ります、その人に罪はありませんが。
若い人はその時代の天才と言いますが、見ていて本当にそう思います。
私はそのどちらにもなれなかった、時代の被害者?違う、その時代に乗れなかった無能者なんだと思います。
だから、目の前の「楽しい」を拾って生きていきたいと思います。
私は幸せ者です。
だって私には、妻も子供もいるのだから。
家族がいるから、目の前の「楽しい」がいっぱい転がってるのだと思います。