あまりSFは詳しくないし好んで読むジャンルでは無かったのですが、『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』なるパワーワードに惹かれて読んでみたのがきっかけとなり、最近は少しだけ興味を持つようになりました。
そんなきっかけをくれた作者である三方行成の短編集があったので購入してみました。
孔明は泣いたが、馬謖の首は斬れなかった。誰もが息を呑んだその理由とは――名軍師のがんばりが並行宇宙論へ飛躍していく表題作のほか、異種族の共存する世界でドラゴンカーセックスをテーマに繰り広げられる感動ファンタジイ「竜とダイヤモンド」、書き下ろしのアルキメデス×太宰治な寓話「走れメデス」など、『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』の著者が贈る、笑えて泣けて度肝を抜かれる奇想SF全5篇!
各短編ごとにネタバレなしで感想を書いてみます。
流れよわが涙、と孔明は言った
帯に書いてある「泣いたのに、馬謖が切れない」なるパワーワードがずるい。そりゃ買うよ俺、三国志好きだもの。逆に言うと三国志を知らないとあまり面白くないかもしれませんね。
馬謖の首が切れない、って事象からどんだけ話を大きく出来るのか?を実験的に行ったものを見せられてるだけな気もしないでもないのですが、単純に面白かったからOK。
折り紙食堂
実はこの短編があまりにつまらなくて読むのが止まってました。あまりこういう感想を書いてはいけない気がするのですが、「だから何?」としか思えませんでした。
走れメデス
おそらく駄洒落から生まれただろう「走れメロス」の主人公を「アルキメデス」にしたらどうなるだろうか?って実験を見せられてる気がしないでもないのですが単純に面白かったからOK。
SFでも何でもない気がしないけど、私は楽しめました。
闇
何か私は読み落としたのでしょうか。ミステリーを読んでいたからなのか、提示された謎が解決されないまま終わってしまった、としか思えませんでした。設定自体面白かったのに残念でなりません。
竜とダイヤモンド
これぞ正しく作者の真骨頂、と勝手に思いました。
裏表紙に書いてある紹介文が意味不明で読む前から期待値マックスを越えてました。
「異種族の共存する世界でドラゴンカーセックスをテーマに繰り広げられる感動ファンタジイ」
すごいでしょ?ストーリーが全然想像つかなかったもの!読んでみて想像以上の仕上がりに大満足いたしました。
ただ、これSFじゃないと思うのですがどうでしょうか。つかドラゴンカーセックスってなんだよ。
歴史小説とかミステリーを好んで読んでいていい歳こいてからライトノベルを嗜むようになった私ですが、この作者のストーリーのぶっ飛び方には毎回驚かされてばかりです。他に作品があれば進んで購入していこうと思っております。