足尾と言えば足尾銅山観光ですが、過去何回も立ち寄っていたので今回はスルーしようと思いながら近くを通ったとき、見慣れない看板を見つけました。
『古河足尾歴史館』なる看板です。
示す道が狭く急な坂を登った上にあるようでして、あまり立地が宜しくないなぁ、なんて思いながらも何となく立ち寄ってみました。
殆ど撮影してなかったので、画像は下記の公式HPから引用しております。
https://www.furukawakk.co.jp/ashio/
まず佇まいが資料館のそれとは違うなと感じました。元々は地元の子供たちが利用していたスケート場だったそうです。2階に大きなキッチンがあって造りが食堂の名残がありました。
中には足尾銅山に関する歴史的資料がこれでもかと展示しておりました。しかし、足尾銅山観光のそれとは趣が違います。『古河足尾記念館』と名乗っておりますので、古河と書いて「ふるかわ」と読む、この会社関連の資料が主に展示されているんです。
物凄い雑に分けますと、
足尾銅山観光 江戸時代
古河足尾記念館 明治以降
と思って頂いても良いかもしれません。
入ってすぐに足尾全体の模型が展示されております。(画像は拾い物)
良く出来ているのですが、実はこれ自体が大変貴重なものでして、70年以上前に作られたものだそうです。これだけでも長い時間眺めながらニヤニヤできます。日光と足尾と鹿沼、この位置関係がこの模型を見ることにより一発で分かりますから。
削岩機が所狭しと並んでいるコーナーは圧巻ですが、マニアックすぎる気がしないでもありません。私は好きですけどね!こういう工具類は中々お目に掛かれませんので。
ちなみに私が見に行った時は相当数増えておりました。この左に、国産第一号機の設計図を書いた製図用品、さらには作った方への臨時ボーナスまで展示されておりました。とんでもない金額を貰ってましたよ!
よく工場などで書かれている「安全第一」ですが、アメリカで始まったこのスローガンを真っ先に日本に取り入れたのが古河の技師だった方なんだそうです。1900年ごろにはもうこのフレーズがあったことに驚きです。
こういった歴史も残していくべきですよね。形として残りにくいこのようなものを継承していく大切さを感じました。
一般的な方は足尾銅山というと公害のイメージが強いと思われます。しかし、それはあくまで一部だけです。それだけしか語られないのはあまりに勿体ない。
江戸時代初期に開山された足尾銅山ですが、明治初期には殆ど取れずほぼ閉山状態だったんです。それを古河市兵衛が経営に着手し、新たな鉱脈を見つけ、さらに発展していったんです。
この古河市兵衛を調べると面白いんですよ。
いわゆる古河財閥の創始者です。出てくる人物が陸奥宗光とか渋沢栄一志賀直哉とかWikiを読んでるだけでも面白い!
そして古河財閥ですが、私、恥ずかしながら調べるまで全く知りませんでした。
古河って名前が付いてる会社がそうなんだろうな、ぐらいの感覚だったのですが、まさか富士通や横浜ゴムや富士電機がそうだったとは知りませんでした。そもそもファナックがその富士通の子会社だったことも知りませんでしたよ!
足尾は銅山と古河のお陰で景気が良く、日本でも有数の都市になったそうです。その象徴がこの足尾鉱業所事務所なんです。東京駅や日本銀行を設計した方の作品です。
現在、この左にある赤レンガの建屋しか残っておりません。令和元年の今、事務所があった場所はこのようになっておりました。
空き地になってました。テニスコートだったようですが、それさえも今は利用されておらず、ただの空き地なんです。
立派な事務所は足利市が購入し、移設し、古くなったので取り壊されてしまいました。もう残っておりません。非常に残念です。
なのですが、なんと、この空き地にその事務所を復元する計画があるそうです!しかも古河足尾歴史館をそこに移転するそうです!素晴らしい!というか驚きです。そもそも足尾の歴史を残したいとNPO法人で始まったこの試みを、古河機械金属が運営を引き継いだだけでも奇跡的なことなのに!
そんなお話をボランティアの方からお伺いできました。非常に興味深く楽しい説明を聞けて本当に素晴らしい経験が出来ました。
途中で、「もしかしてこのボランティアの人、偉い人じゃなかろうか?」と思い、帰宅後調べたら、やはりこのNPO法人を立ち上げ、古河に運営を引き継がせ、さらには事務所を復元させて資料館を移転させるというとんでもないことを成し遂げた張本人様でした!
なぜか名刺まで貰ってしまいました。大切に保管いたします。他にも素晴らしいものを頂いてしまいました。どうしよう、何かお返ししないといけない気がしております。
入館料大人500円ですが、それ以上のものを得ることが出来ました。私としてはもう一度訪れて、さらに説明を聞きたいと思っております。
ここだけで1時間以上費やしてしまったのですが、実はさらにとんでもないものがここには展示されていたんです。この施設、古河足尾歴史館だけじゃないんです。
足尾トロッコ館も併設されているんです。これがまた素晴らしかったのですが、感想は後日!