過去2回、上野動物園で見た動物に関して書きましたが、実は真の目的は、パンダ様でもハシビロコウでもなく、モノレールに乗りに来たんです。
上野動物園のモノレールですが、これ、ただ園内を移動するための乗り物、ってだけじゃないんです。存在自体が非常に価値のあるものなのです。
上野懸垂線(うえの けんすいせん)は、東京都台東区上野にある上野動物園内の西園駅と東園駅を結ぶ東京都が経営するモノレール(東京都懸垂電車)路線である。単に上野モノレールとしたり、上野動物園モノレールとも呼ばれる。
常設のものとしては日本初のモノレール(懸垂式鉄道)である。
実は日本初のモノレールなんです。開業が1957年、昭和32年です。60年以上前ですよ。しかも、世界で2番目に古いモノレールなんです。
距離としてはたった300m、上野動物園内を走るだけの乗り物ですが、非常に価値のある存在であるんです。
そんなモノレールが、消滅してしまう可能性が出てきました。
新時代が幕を開けた今年、日本で最初に開業したモノレールが運行を休止する。東京・上野の上野動物園内を運行するモノレール「上野懸垂線」だ。1957年の開通から62年。2019年11月1日から休止する予定で、今後の方針はまだ決まっていない。
休止理由は、車両の老朽化です。
国内唯一の車両を更新するには3年程度かかり、製造できるのは1社のみ。製造技術の継承や部品の確保も課題だ。
2019年10月までに車両を確保しなければならないと分かっていたのに、いまだに今後の予定が決まってない、ということは、おそらく東京都としては廃止したいのでしょう。この決定ですが、鉄道好きな私でも仕方がないよなぁと思ってます。
おそらく11月で休止になったら復活は無いだろうと考え、その前に乗っておこうとわざわざ鹿沼くんだりから上野動物園に赴いたわけです。
そして、結果として、本当に良い体験ができました。
進入してくるモノレール。片腕だけでぶら下がってるのは衝撃ですよね。
上を見るとタイヤでした。こういう構造なのか、といまさら知りました。
反対側から。片腕だからこちらからだと浮いてるように見えます。ってぶら下がってるんだから地面からは浮いてるんですけどね。
柱にあったプレートを見つけました。
播磨と合併する前の石川島の名前があります。合併したのが1960年ですから、この名前は意外と貴重かも?
八幡製鉄は調べたら1950年から70年までの20年間しか名乗ってない会社名のようですね。
乗車したのですが、車内はさすがに人が多く写真を撮ることが出来ませんでしたので、記事の画像を貼っておきます。
椅子などは子供向けアトラクションのような造りになってますが、それ以外は電車に近い感じでした。
頭上をぶら下がりながら走るモノレール、中々迫力がありました。
上野動物園でモノレールを見ているうちに、私の中に特別な感情があることに気が付きました。ぶら下がってるモノレール。そうか、私が子供のころの未来がこれだったんだ。
私の中のモノレールはこれなんです、ぶら下がってるモノレールなんです。羽田に行くモノレールは私の中ではモノレールじゃないんです。千葉のモノレールが、湘南のモノレールが、私の中での本当のモノレールなんです。
そんな未来の乗り物が、すでに60年前に開業してたんです。そして、どんどん増えていくものだと思っていたんです。
今、あの頃思い描いた未来にはなってません、それ以上に進化した未来にはなっていますが。でも、ワクワクしたあの未来じゃないんです。車は飛んでないし、地底や海底や雲の上まで高い超高層ビルに人は住んでないし、コンコルドは飛んでないし、光線銃じゃないし。
私が子供のころ望んでいた未来は、この上野動物園のモノレールだったんです。自分の上を通過していく車両を見たときに、それに気が付きました。
私が乗車した日は日曜日でした。たかが300m、歩けばすぐに到達してしまう距離ですが、このモノレールを乗るために長蛇の列ができておりました。この人たちは、このモノレールを移動手段だと認識してません、アトラクションだと認識しているんです。乗りたいから並んでいるんです。
そんな上野動物園のモノレールですが、車両を復活させるには時間もかかるしお金もかかるし、そもそもパーツがあるのかも分からない現状、多くの人が復活を希望しても、やはり難しいでしょう。
乗りたい方は11月までに上野動物園に行くべきです。そして世界で2番目に古い、日本で一番古いモノレールを是非堪能してください。