シリーズとして完結したものだと勘違いしておりました。タイトルにもナンバリングされてなかったので気が付くのが遅かったこともあり、発売から半年経ってやっと購入いたしました。

ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)
- 作者: 三上延
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/09/22
- メディア: 文庫
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ある夫婦が営む古書店がある。鎌倉の片隅にひっそりと佇む「ビブリア古書堂」。その店主は古本屋のイメージに合わない、きれいな女性だ。そしてその傍らには、女店主にそっくりな少女の姿があった--。
女店主は少女へ、静かに語り聞かせる。一冊の古書から紐解かれる不思議な客人たちの話を。古い本に詰まっている、絆と秘密の物語を。
人から人へと受け継がれる本の記憶。その扉が今再び開かれる。
今までと同じように、3~4つのエピソードで構成されておりますが、今回違うのは五浦大輔視点ではない別の登場人物視点で描かれていることです。と言っても、五浦の栞子さんハァハァの描写がないだけのいつものビブリア堂でしたが。
どのエピソードもいつも通り楽しく読ませていただきました。この作者の素晴らしいところは、手に入れた情報をこれでもかと押し込めずに、必要最低限に止めているところにあると思っております。自分が書きたいものではなく読者が読みたいものを書く。これがきっちりと出来てる方だと認識しております。
第2話の『僕と母さんの思い出の本』はその部分が若干はみ出しちゃってるのですが、それがまた私には楽しかったです。題材がゲームだったので、登場人物のセリフがマニアックにもかかわらず全部理解できちゃうんですよ。だからわかるんです、三上さん、相当知ってるな!って。
そしてこの2話ですが、私は読んでいて泣いてしまいました。母と子の在りし日の風景が目に浮かんでしまいました。このために私はこのシリーズを読み続けてきたんだろうと。そのぐらいこのエピソードは胸にきました。
もちろん他のエピソードも素晴らしいものばかりでした。
作者の絶妙な匙加減のお陰で、実はとんでもない陰鬱な話もすっと読めるこの技量、あまり褒める人がいない気がするのですが、私は素晴らしいと感じております。この人間違いなく文章が上手いです、って素人のおっさんが言っても嬉しくないでしょうが。
誰にでもおすすめできる内容ではないのに、作者の技量によって万人受けしそうな気がするこのシリーズ、私としては是非読んでほしいと思っております。
基本的に栞子さんを愛でるシリーズなんですけどね。
だからこそ、ドラマの剛力にはがっかりしたし、映画化で救われると思ったら黒木華って!なんかこのシリーズ呪われてない?
最後に、第二話に登場した音楽を貼っておきます。私は忘れておりました。そもそも俺プレイしたのだろうか?6は覚えてるのになぁ。