鹿沼の隅っちょから

鹿沼の隅っちょから

「鹿沼」でググった時に1ページ目に表示される事を目指していたのに鹿沼の事全然書いてません

全国マン・チン分布考 松本修

京の言葉が時間を掛けて地方に広がっていく方言周圏論なる理論は非常に面白かったし、扱った女陰および男根の呼び名やその由来も非常に面白かったのに、作者の癖が馴染めなくて後半読んでて苦痛だったけど、総合的には面白かったです。

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元々は、小学生の頃小松左京の雑学本を読んで興味を持った記憶がございます。何故女陰は関東と関西で呼び名が違うんだろう?と。さらに九州ではボボ・ブラジルなるプロレスラーはやばい、なんてことまで知ります。今思うと嫌な小学生ですね。

ただ、別にちゃんと調べることなく30年以上放置しておりましたその謎が、この本ですべて解決できました。その点に付きましては非常に素晴らしい作品です。

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本の最初にこの地図があるのですが、これだけでも買った価値がありました。同じ対象物なのにこれだけ呼び名があるんですね。古事記日本書紀には「ホト」を使っています。秋田は「ベッチョ」、青森は「マンジュウ」、九州は「ボボ」、ぐらいしか知識がありませんでした。ここまで多いとは思いませんでした。

そして、関東と関西で呼び名が違うわけでは無く、京の都から離れていくにしたがって呼び名が分かっていくってのも実に面白いです。

ちなみに本書では「ヘノコ」は男根の呼び名としか説明がなされてますが、この地図だと女陰にも使われてるんですかね。どちらにせよ、最近ニュースでアナウンサーが「ヘノコ」と言うたびになんとも言えない気持ちになります、はい、すみません、不謹慎です、ごめんなさい。

 

と、名称や由来等を説明しているパートは面白いのです。

ただ、途中から文字数を増やしたかったのか、読んでいて苦痛になっていきます。

「マラ」の解説あたりでそれは顕著になってきまして、この人の性格なのでしょうか、ネチネチと否定するためにページ数を稼いでいきます。

さらに、過去の学者の悪口や、出会った女性の描写や、だた満子って芸名で活動してた人へのインタビューとか、読んでいてツマラナイどころか苦痛でした。途中で「そうか、読み飛ばせばいいのか」と気が付いて実践したらあっという間に読み終わりました。最初の「探偵ナイトスクープは俺が作った」あたりの自慢話は面白かったしもっと読みたかったのですが。

 

私が一番嫌だったのが、彼の「女陰は忌み嫌われるものじゃない、もっとおおっぴらに発言すべき単語だ」みたいな思想です。そんな訳ないだろ。

「昔はもっと気軽に使われてた」なんて書いておりますが、それは家族や身内だけであり、喫茶店や職場で使う言葉な訳ないだろうと。そもそもこれだけ呼び名が増えたのも、その呼び名に卑猥なイメージが付いてしまったから変化していってるんじゃないですか。そしてそれは自分でも書いてるし。

彼は「オソソ」を推してますが、それは今の段階で卑猥なイメージが付いてないだけで、時代とともに定着したら結局は過去の呼び名と同じような末路に落ち着くのは目に見えております。

「デリケートゾーン」や「バルバ」「おまた」を嫌ってますが、これらも同じ末路を辿ると思います。もしかすると「あそこ」さえも本来の意味を超越しかねませんね。

 

美しい日本語を守ろう、なんてほざいてる人がおりますが、たったひとつの単語でさえここまで変化しているのです。日本語に限らず、言語は時代を経て変化するものです。頑なに守ることに何の意味があるのでしょうか?私としては、日本語ではなく方言を文化として守り継承していくことに意味を見出しております。

方言周圏論が正しければ、京の都から離れた方言は古代日本語に近いってことですからね。もっと多くの研究がなされることを期待しております。

そして、そんな思考にさせてくれたこの本に感謝しております、後半つまらなかったけどね。

 

ちなみに。

おぱんぽん」は定着しませんでしたが、私の中で話題になっております。

dic.nicovideo.jp

私はこの名前を考えた人を尊敬します。素晴らしい。私としてはこの呼び名を広めていきたいと思っております。どうやって?わかんね。