鹿沼の隅っちょから

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「鹿沼」でググった時に1ページ目に表示される事を目指していたのに鹿沼の事全然書いてません

大進化どうぶつデスゲーム 草野原々

衝撃的なタイトルで思わず購入してしまった『トランスヒューマンガンマ線バースト童話数』、そこからSF作品がヨドバシ.comのおすすめに顔を出してくるようになり出会ってしまった『最後にして最初のアイドル』、その作者である草野原々の作品です。

あまりに脳が揺さぶられた作品を書いた方なので、他の作品はどんなものなのだろうかと購入してみましたが、今回も百合かよこの作者好きだなと思いながらも登場人物が多すぎて覚えらないまま物語が終わってしまいました。なんだこれ。

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智慧女学院3年A組の生徒たち18人とこの宇宙の命運を決定的に変える事態が起こったのは、空上ミカが八倉巻早紀を見つめていたときだった―突如現れた怪物の襲撃により、大混乱に陥る教室。そこに現れたAI生命のシグナ・リアは、彼女たちがあるゲームに参加しなければ、人類は消滅してしまうと告げる…800万年前のサバンナを舞台に、生物種の進化史を賭けた大冒険が幕を開ける!渾身の青春ハード百合SF群像劇。

大進化どうぶつデスゲーム (ハヤカワ文庫JA)

大進化どうぶつデスゲーム (ハヤカワ文庫JA)

 

 青春ハード百合SF群像劇、なるジャンルを説明をしてるのになんだこのパワーワードは。

青春は登場人物が女子高生だから分かる。ハード百合は登場人物が女子高生のみだからまあ分かる。SFは800万年前にタイムスリップしてるからわかる。群像劇も18人も出てくるからまあわかる。

だけどこれらが合わさって最強に見える、こともなく、なんだかまとまらないまま消化せずにぶん投げらえた感があります。これ、作者がちゃんと消化できないまま締め切りが来ちゃったんじゃね?と勘繰ってしまうぐらい雑な仕事っぷりにがっかりです。

まず、群像劇だから登場人物が多く出てくるのですが、読んでて全然個性を感じないというか覚えれず、誰一人感情移入できないまま最後まで読み切ってしまったんです。ちゃんと登場人物一覧を見返しながら読んだんですよ?

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ところが全然彼女たちが頭に入ってこない。読んでて私の能力が無いからかと思ってたのですが、読み切った後にその原因がわかりました。

「物語自体が面白くないから覚える気が起きなかった」、単純にシンプルにストレートにそれだけでした。

 

クラスまるごと異世界へ飛ばされてサバイバルゲームに強制参加させられるというテンプレート。そしてこのテンプレートは何をどうやったって面白くなるはずなのに、中盤まで戦闘もなく、戦闘が始まっても中々死亡者も出ず、一番死を感じるシーンが敵との戦闘じゃなくて岩に手を挟まれてそこから逃げるとき、という何だこれ感。

作者が何をしたかったのか全然理解できませんでした。本当に女子高生達が百合百合してるのを書きたかっただけじゃね?と。成長もカタルシスも胸糞悪さも喪失感も何もありません。

敵を全滅させる手段もアレだし彼女の決断に対する描写も軽いし周りの反応も軽いし、読んでいてなんだこれと軽く笑ってしまいました。

 

そもそも登場人物一覧を見ながら読まなければならない段階でマイナスなのかもしれません。名前に特徴を持たせるか、キャラクターを覚えさせるような描写を加えるか、一人一人を掘り下げるようなエピソードを充実させるか、何か必要だったというかここら辺が足りなかったのではないでしょうか。

私個人としては名前だけじゃなく名字もその都度書いてくれたら覚えやすかったかもしれません。桜華と純華、愛理と眞理と真美、うーん覚えにくい。

ちなみに私が覚えられたのは、ぶっ壊れキャラの小夜香とスポーツ少女陽美ぐらいでした。

 

作家生活の中でこういう駄作もあるよね、なんて思ったのですが、まさか続編がでてるとは!

大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA)

大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA)

 

1832年ダーウィンは得体の知れない老婆かるある「お話」を聞かされる。それは、小田原市在住の女子高生たちが人類の進化を守るため、6600万年前の白亜紀末期へとタイムトラベルして、知性化鳥類と戦争するというものだった。やがてお話は暴走に暴走を重ね、「世界の真実」についての答えがもたらされる。本書は『大進化どうぶつデスゲーム』の続篇であるものの、前作読者の期待を大きく裏切る超衝撃的な問題作である!

え?もしかしてこの『大進化どうぶつデスゲーム』は前振り?続編を読まないと駄目な感じ?しゃーねーなぁ読むよ。