鹿沼の隅っちょから

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「鹿沼」でググった時に1ページ目に表示される事を目指していたのに鹿沼の事全然書いてません

レトロゲームファクトリー 柳井政和

ゲーム関係の物語で個人的に外れに当たったことがないので、名前だけで購入しました。結論として、購入して本当に良かったです。

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過去のゲームを最新機用に移植する会社「レトロゲームファクトリー」。その社長・灰江田直樹とプログラマー・白野高義の元に大口の依頼が舞い込んだ。伝説的ファミコンゲーム、UGO(ユーゴー)コレクション10本の復活プロジェクトだ。だが開発者は最後の作品の権利のみを買い、失踪していた。一体何故か。横取りを狙う大手企業を抑え、封印ゲームを復活させよ! 現役プログラマーが贈るお仕事小説。

レトロゲームファクトリー (新潮文庫nex)

レトロゲームファクトリー (新潮文庫nex)

 

読んでいて作者は私と同世代だと確信しました。主人公の1人である灰江田の小学生の時の思い出が胸に来ました。そうだった、俺らのコミュニケーションツールはゲームだったんだ、って。雑誌を貪り情報を交換して、ゲームをとことんまでプレイしつくしていたあの頃を思い出しました。作者の思いが、登場人物に反映されまくってるんだろうな、と読みながら感じ取れました。

また、作者が現役のプログラマーとのことなので、そこら辺の描写が正確にそして浅からず深からずバランスよく説明されておりました。なにより、付け焼刃の知識やゲーム好きの妄想ではなく、本職としての視点で描かれているのが新鮮でした。

 

ライバルであるキャラクターが本当に酷い奴なのですが、作者が灰江田に「あいつの言ってることはむかつくが正論だ」と言わせています。ビジネスとしての正論、なのでしょうか。

会社は営利団体です。儲けが無ければ従業員を養えないし、会社も存続できません。人気の落ちたIPを復活させるのではなく枯れるまで絞り切るやり方を否定するのは簡単ですが、ビジネスとして考えるとそれもありなんだよなぁ、と考えさせられました。

実際にこれ、行われているからね。好きなシリーズだと本当に気が滅入ります。スマホ化されることを一部界隈ではスマホ落ちと言います。スマホ化されたゲームで内容として面白くなった作品がほとんどなく、楽しむには追加課金が必要だったりするからです。

 

レトロゲーム・ゲーム業界・ゲームへのイメージ等のゲーム関係から、経営陣との確執・家族・ビジネスとしての駆け引き等、様々なファクターが詰め込まれております。

物語としても面白く、ゲーム好きならばさらに楽しめるこの作品、強くおすすめいたします。興味のある方は是非お読みになってください。

私は感動しました。

 

 

蛇足ですが。

作者の方を私は知りませんでした。ちょっと調べたらインタビュー記事がありました。

作者の柳井政和(やない まさかず)氏は、2016年に小説家デビューしたばかりの新鋭であるとともに、“めもりーくりーなー”などのPC用フリーソフトを多数開発し、プログラミング技術書の執筆も手掛けるベテランの現役プログラマー……という風変わりな経歴の持ち主。

は?!「めもりーくりーなー」?!あのフリーソフトの開発者なの?

ウインドウズ98からXPあたりまで利用してたよ!

あとSteamでゲームも配信してるし!

1,000円!買う!けど今のPCで動くのか不安なのでちょっと調べておきます。

柳井さん、凄い人だな・・・!

 

あと巻末に取材協力として4名のお名前がございました。検索して引っ掛かった人たちを紹介いたします。

・飯塚連也

2009年にX68000用ソフトを開発した変わり者です。

・かざみみかぜ。

2004年にX68000向けに新作を出した変わり者です。

・喜多村明夫

メビウスのゼネラルマネージャー。

メビウスって聞いたことあるなぁ、と思ったら最近購入した『アガルタ エス』のパブリッシャーでした。

インタビューがありましたので貼っておきます。

あ、やべぇ、ローリングガンナーをプレイしたくなってきた。俺シューティングゲーム苦手なのに。

ラー油さんの記事もべた褒めだもんな!困った!買ってしまいそうだ!!

 

追記

購入しました!感想を書きましたので興味のある方は是非ご覧になってください。

購入して本当に良かった。私にシューティングゲームに対する苦手意識を払しょくしてくれた記念すべき作品となりました。ありがとうレトロゲームファクトリー、ありがとう柳井さん、ありがとう喜多村さん、そして製作者の方々!