大好きな米澤さんの「王とサーカス」、文庫版が出ましたので購入即読み切ってしまいました。
毎回勿体ないのでゆっくり読もう!と思うのですが、どうしても先が知りたくて速読まがいの読み方でページを進めてしまいます。それでも今回は比較的時間を掛けた方だとは思うのですが。
「さよなら妖精」に出てきた大刀洗万智が主人公ですが、別にこの本から読んでも問題ございません。あの時彼女は高校生でしたが、この作品では28歳フリーライター成り立てです。
その彼女が2001年のネパールで、王族が殺害されるという事件があった中、とある事件に遭遇します。
ネパールの王室で事件って本当にあった事だとは知りませんでした。
王宮としては質素と書かれていましたが、画像を見ると本当に王宮に見えませんね。
ネタバレなしの感想ですが、この読後感、正しく米澤さんだわぁと思いました。
この後味の悪さ!主題は解決してるけど他の件は未解決・放置・解決策無し!
良い人がいっぱい出てくるけど、そうでもない人がさらに出てくる。人の悪さが滲み出てくるこの感じ、間違いない、米澤さんです。
ミステリーとしても素晴らしいです。子供の頃に江戸川乱歩から入ってきた私には新鮮です。何冊も彼の作品を読んでおりますが、毎回新鮮な気持ちになります。これが今のミステリーなんだな、って。
私が一番唸ったのは、冒頭に出てくる「ネパールの料理は美味しいけど温い」ですね。このような日常系のミステリーをさくっと回答を出してくる感じが新鮮でたまりません。私がただの時代遅れの感性なのかもしれませんが。
文庫本の帯に3冠!と書いてありますが、あまり期待して読まない方がいいと思います。普通に読んで楽しむ感覚で挑んで欲しいです。
正直言いますと、米澤さんのファンである私ですが、「王とサーカス」、なぜこれほど評価が高いのか分かりませんでした。もちろん面白かったですし素晴らしかったのですが、軒並み1位を取ってしまうパワーを私は感じませんでした。
私のセンスが無いだけなのかもしれませんけどね。
個人的には「さよなら妖精」の方が好きです。衝撃的だったなぁ本当に。