ニンテンドースイッチのゲーム「オクトパストラベラー」は昔ながらのコマンドタイプRPGで2Dでストーリーもツッコミどころ満載だけど「こまけぇこたぁいいんだよ」と面白さでぶっ飛ばすそこらへんも昔ながらの傑作だったよ!
発売日 2018年7月13日
メーカー スクウェアエニックス
ジャンル RPG
価格 7,344円
〇良い点
・戦闘
ゲームの肝となる戦闘が面白い、たとえそれが雑魚戦だろうがボス戦だろうが。
ブレイクシステムとBPとジョブ固有スキル等が合わさって、ただの戦闘が懐の深い戦略性を得た感じになっております。
しかし、私が一番この戦闘システムが優秀だと感じたのは、それが絶対的ではなくてごり押しも出来るぐらいのバランスであるところだと思っております。
「やれば楽だけどやらなくてもOK」なバランス、これが素晴らしい。
面白さを追求するあまり複雑なシステムを構築してしまった挙句にそれを押し付けてくるゲームは数あれど、ここまで程よいバランスなのは珍しいと思います。
この緩いシステムのお陰もあり、戦闘が本当に面白い!って戦闘が長いんですけどね。それでも面白いからOK、と感じました。
そして、システムは緩いのに油断すると雑魚相手でも全滅する緊張感、いわんやボス戦をや。
ここまで面白い戦闘は中々ありません。
・ビジュアル
「2D‐HD」と謳っております。昔ながらのドット絵に3DCG効果を加えたそうです。
最初は何を言っているのか意味が分かりませんでしたが、画像を見て一瞬で理解し惚れ込んでしまいました。
美しい・・・。
グラフィック解像度がどうとかフォトリアルだとかそんなんじゃない美しさを感じてしまいました。
この美しさが、ただフィールドを移動してるだけのシーンでも感じられますし、イベントシーンでも見られます。
雪が降っているシーンですが、このシーンは本当に美しかったです。
・キャラクターデザイン
ビジュアルとかぶっている部分もございますが、あえて分けました。
キャラクターもドット絵なんです。
リアルではないどころか荒いドットで描かれておりますので、その表現に限界があります。あるにもかかわらず、見ているこちらはこのキャラクターたちが物凄い表現している豊かに動き回って見えるのです。
私個人的には人形浄瑠璃に通じる感覚だと思っております。
人形がどう動こうが後ろに黒子が二人どころか白い服の人が一人の合計3人も動かしてるのが見え見えなのに、見ているうちに没頭して、後ろの3人が見え無くなるどころか、動いている人形に表情が見えてきて口が動いてセリフまでしゃべってるように感じてしまう感覚、これに通じるものがあると思ったんです。
生身の人間が演じるよりアニメの方が没頭できるのも、おそらくこの感覚だと思うのです。
この感覚が、ドット絵のキャラクターで発動しました。
画面の中の小さなドット絵のテレサが片手を上げてるだけなのに、私にはワクワクが止まらなくて微笑んでいる表情が見えました。
上の画面中央右のキャラですが、知らない人が見たら男性キャラがいるだけ、にしか見えないと思います。
しかし、ストーリーをクリアした人なら、彼が満面の笑みであることがわかるんです。
脳内変換、なのでしょうが、それが容易にできます。そして、昔のゲームは総じて脳内変換してたと思うんです。動かないドット絵でも、脳内変換でリアルなキャラクターが動き回ってたんですよ。
その脳内変換には想像力が必要で、その可能性は無限大なんです。しかし、リアルすぎると、それはただ動画を見てるだけでしかなくなってしまうんです。そこには限界があるんです。
私には、このドット絵のキャラクターたちが表情豊かに動き回っていました。
・音楽
メインテーマが派手ではないのにキャッチーで素晴らしいと思っておりました。
紹介動画の最初に流れてる、もしくは公式HPで流れている音楽です。
そして戦闘が始まった途端に驚きました。え?ボス戦っすか?ってぐらいの盛り上がり方に。
ここで聞けますので是非!バトル1はDisc2の11曲目です。
そして、一番盛り上がるのが、ボス戦前の音楽からシームレスでボス戦に繋がるんですよ!この盛り上がり方がすげー興奮するんです!!
53秒まではDisc4の8曲目「再起のために」で、54秒からDisc3の10曲目「ボスバトル2」になってます。
これがプレイ中、途切れることなく繋がって流れるんですよ!
しかもこれ、「再起のために」はオリベルク専用ボス戦前BGMなんです。つまり、8人全員別のボス戦前BGMがあって、それが全部ボスバトル1および2とシームレスで途切れることなく繋がって流れるんですよ!
もうね、気が付いた時にはさらに興奮しましたね。このオリベルクボスバトル2がまたすげぇ盛り上がるんですわ。
音楽って演出の一部でしかないとは思うのですが、そんな存在にも関わらずこれだけ胸に突き刺さるのは、作曲家は勿論、演出家の能力もあるのだと思います。
だって下の画像を見ただけでメインテーマが脳内に流れてくるもの。
・シナリオ
8人全員4章をクリアするとエンディングが流れますが、とあるサブストーリーを進めていくと出てくるボスを倒すまでが最後だと思っています。そして、そこまで進めると、本当にストーリーが分かるようになっております。
私としては、大きなこの物語に関しては非常に評価しております。
そして、8人のストーリーも評価しております。
とくに好きなのはアーフェンですね。プリムロゼは一人だけ絶望感がとんでもないです。
サブストーリーもピリリと利いてるのが多々ありました。個人的には牢屋で死刑を待ってる男の依頼が妙に胸に引っ掛かりました。
総じて多々問題があるのですが、そこらへんは他の面白さで吹っ飛ばしてます。それがまた昔のRPGのようで、私としては懐かしさに包まれました。
・NPC
数多くの町が存在し、そこに数多くのNPCがおりますが、そこそこ個性的です。一人一人物語を抱え、それに合わせたアイテムを所有しています。
それを聞き出すもよし、所有物を盗むもよし、誘惑や勧誘で連れ出すもよし、といろいろ出来ちゃうものこのゲームも面白さの一つだと思っています。
上の画面真ん中の爺さんは、どこかの町から連れてきたNPCです。どうも彼がとどめを刺したようで、なんだか偉そうにふんぞり返ってます。
見た目ただの婆さんだけど調べたら元盗賊だったり、弱そうな爺さんが強力な魔法を連発したり、爺さんの形見を大切にしてる婆さんがそれを武器にして雑魚を蹴散らしたりと、さっき戦ったボスよりお前強い人だろ!とツッコミたくなるぐらい強いNPCも存在してます。
トレサの父も連れていけるしね。なんだかもうなんでもありな感じです。しかしちゃんとバランスは取れてるんだよなぁ。あ、取れてないのか。
・絶妙というかいい意味でのテキトー感
上のNPCが連れていけるところで触れたのですが、バランスが取れてるようでいい加減です。
NPCの持ってるアイテムには非常に強力な武器があったりします。盗む確率が3%だったりしますが、時間と根性があれば、今風に言えばリセマラすれば入手出来ちゃいます。その武器で「俺ツエー」が出来ちゃいます。
私は作った人の想定上の難易度で進めたいので全くやりませんでしたが、「俺ツエー」が好きな人はリセマラをすればいいし、私のような性格の人はやらなければいいだけなんです。
選択はこちらに委ねられてるんです。
この自由度が非常に心地良かったです。
・マップ構造
あまり複雑だと嫌になるし、簡単だとツマラナイ。
その丁度いいところを突いたマップデザインだと思ってます。
そもそも目的地までの道しるべが必ずあるんです、絨毯とかたいまつとかランプとか棒とか。
さらに右下に出る簡易マップにもアイコンが表示されてます。
町や隣のマップの入口やらセーブポイントやら。
サブジョブを手に入れたくてウロウロしてる途中で気が付きました、思いっきり表示されてるやん!って。
このお手軽感が、私のようなおっさんには非常に心地よかったです。
・装備
武器によってはジョブ縛りがあったりしてメンドクセーってなることが多々あります。
しかし、オクトパストラベラーにはそれがありません。
しかも、キャラクターしばりもありません。
すべての武器はどんなジョブでもキャラでも装備できます。
さらに、なんの武器を装備するかで個性が出せます、回避+とか行動速度上げ上げとか。
今の風潮なんですかね?私はこのゲームで初めて体験しました。非常に素晴らしいと感じました。
付帯効果として、オリベルクが踊り子の衣装を装備した姿を想像したりして楽しめました。ちなみに私に中ではハンイットさんが恥ずかしがりながら踊り子衣装で踊ってる姿が一番かわいいと思ってます!
・バグが少ない
少ないというか殆どありませんでした。
下の画像のように、バトル中にフィールド移動時のキャラが表示されたままってのが2回ぐらいありましたが、それだけしか遭遇しませんでしたね。
バグが無いのが当たり前だと思ってる方も多いと思いますが、そんなことはございません、バグや不具合はあって当たり前のものなんです。
なので、改めて思い返してバグが無かった場合は、私は評価するようにしております。
・懐古主義
2Dが進化したらこうなったのではないだろうか?との想像から生まれたと思われるこの作品、随所にそれが見て取れるのですが、その中にこんなものがございます。
ボスがデカい。
フォトリアルなゲームだったら絶対にありえないこの演出。昔はこれが当たり前だったんだぜ、みたいな懐古主義が私には心地よかったです。
「ドット絵」「2D」「コマンド」は勿論、リアルタイムとかそういうメンドクセーのも排除したこのスタイル、私は大好きです。
〇悪い点
・ストーリー上の不思議
仕方がないにしてもテリオンを仲間にする動機がオカシイし、そういう細かい「オカシイ」が多々ありました。
とある場所に向かう際馬車に乗るのですがここにプリムロゼ以外の3人も乗ってるのか?とか、プリムロゼが刺されたとき他の仲間はどこにいたんだよ!とか、オリベルクさんが闘技場で戦うのに1対1じゃなくてこっち4人なのかよ!とか。
でもね、「こまけぇこたぁいいんだよ」で済む話です。
昔のPRGはそんな感じでしたから、私は気になったけど気にしないことにしました。
寧ろ馬車の中で窮屈そうにオリベルクさんが丸まってる姿を想像してました。
・長い
最終的に100時間を軽く越えてしまいました。
発売日(7月13日)に購入して終わったのが8月19日ですからね。約1か月、あまり他のゲームも出来ずに没頭してプレイしたのにこんなに時間を奪われてしまいました。
面白かったからいいんだけどさ!
お陰で他のゲームの感想を上げることが出来なかったよ・・・。
〇まとめ
FF7で3Dになったけど、そのまま2Dで進化したらどうなっていたのだろうか、の答えがこの作品。
複雑ではなく簡単すぎず、いい加減ではなく緻密過ぎず、狙ったバランスではなくいい意味でテキトー、すべてが心地いいラインをしっかりと掴んでる傑作。
RPGにアレルギーが無ければ買え。
〇評価
10/10
*追記していく予定です